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イヌ・ネコの不妊化手術

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メス犬の避妊手術


 メス犬の避妊手術による効果は、望まない妊娠を防ぐことだけではなく、メス犬に多発する子宮蓄膿症や乳腺腫瘍・鼠径ヘルニアなどの病気の予防と行動面でのメリット(発情時の出血がなくなる、オス犬が寄ってこなくなるなど)があります。 
メス犬に発生する腫瘍のうち、乳腺腫瘍が最も多く52%を占めており、統計によればそのうち半分(50%)が悪性(ガン)であることがわかっています。乳腺腫瘍の予防効果は、初回発情前で95.5%、1回発情後では92%、2回発情では74%、2.5歳以降では0%となっています。
犬の乳腺腫瘍は予防できる病気であり、欧米などでは、既にほとんど見られない状況になっています。ワンちゃんの健康を考えて、繁殖を希望されない場合には避妊手術をおすすめしています。 


オス犬の去勢手術


 オス犬の去勢手術による行動・性格面での効果としては、発情によるストレスの解消、攻撃性の低下、しつけがしやすくなる、尿のマーキングが減るなどが期待できます(効果には個体差があります。)。また、老化に伴い多発する前立腺肥大や精巣・肛門周囲の腫瘍・会陰ヘルニアなどを予防することができます。

メス猫の避妊手術


 メス猫は交尾刺激により排卵する動物です。そのため、発情シーズン中に妊娠しないと発情が長期間止まらない性質があります。
室内飼育の場合、避妊手術をしていないと異常な鳴き声や不適切な排尿など、飼い主様を困らせる行動をによって室内飼養が困難になる場合があります。
猫は一年間で2~3回の出産が可能で、一度に6~8頭出産することもあります。望まない妊娠を防ぐことは、不幸な境遇で生まれる子猫や母猫の健康管理のためにも必要です。
メス猫の避妊手術による効果は、子宮蓄膿症の予防、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍(ガン)などを予防することができます。猫の乳腺腫瘍の発生頻度は10万頭につき25頭で、2番目に多い腫瘍です。発症した場合の90%が悪性(ガン)です。手術での乳癌予防効果は生後6ヶ月までは91%、7~12ヶ月では86%、13~24ヶ月では11%、24ヶ月以上では0%となっています。





症例1:発情中の避妊手術


発情卵巣と子宮.JPG よくお電話で「発情中なのですが避妊手術できますか?」というお問い合わせをいただきます。答えは「できます」です。確かに、発情していない時に手術を行う方が安全です。発情している時は、子宮や卵巣に分布している血管の血流量が平常時より多くなり、平常時の手術よりも若干出血量が多くなるためです。しかし、特にメス猫の場合発情時に発する大きな鳴き声(発情声)でオーナー様が眠れなくなってしまったり、ご近所迷惑になってしまったりと様々な問題が生じます。そのため、当院では発情中の個体でも避妊手術を行っております。ですが、発情していない時に行ってあげる方が個体への負担は軽くできます。
(画像:発情卵巣と子宮)



症例2:子宮蓄膿症


子宮蓄膿症.jpg 子宮内に細菌が侵入することによって生じます。特に発情終了後1か月あたりで異変に気付かれるオーナー様が多いです。臨床症状は、お水を沢山飲む(多飲)、尿をたくさん出す(多尿)、陰部からおりものがみられるなどです。
 この症例は、健康チェックのために来院した際に陰部より膿汁が出ていることを発見し、手術となったケースです。








症例3:潜在性精巣


潜在精巣.JPG  犬の精巣は生まれたときはお腹の中にあり、約30日で陰嚢へ移動し、股の間に睾丸を確認することができるようになります。これを精巣下降といいます。ところが片側または両側の精巣が陰嚢内に下降せず、お腹の中または鼠径部(内股の部分)に留まってしまうことがあります。これを潜在性精巣もしくは停留精巣といいます。
精巣は、精子を造る工場であり、毎日盛んにDNAを合成しています。DNAの合成は、通常の体温より少し低い方が望ましく、もし精巣が腹腔内など高温部にあるとDNA合成エラーが多くなり癌化する危険が高まります。潜在性精巣の犬は正常のオス犬に比べ、9倍精巣腫瘍になりやすいことがわかっています。当院の去勢手術では、お腹の中や鼠蹊部にある潜在性精巣も摘出しています。

(画像:潜在性精巣の犬の精巣 左;潜在性精巣、右;正常な精巣)




症例4:セルトリ細胞腫


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