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鳥の病気

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嗉嚢検査_ゾンデ挿入前嗉嚢検査_ゾンデ挿入時 鳥の診察は検便と嗉嚢(そのう)の検査が基本です。
 嗉嚢とは鳥の食道の一部分が一部分膨らんだ場所です。嗉嚢は、食物を一時貯めておき、水分によって食べたものを柔らかくします。嗉嚢内では消化酵素の分泌や栄養の吸収は行われません。
当院の嗉嚢検査は、20%グルコースを嗉嚢内へ注入(上写真右)し、その後吸引して嗉嚢液を採取(上写真左)し、嗉嚢液の色調・粘稠度(ネバネバしているかどうか)・顕微鏡での検査を行います。
 嗉嚢内には細菌が常在していますが、単一の菌のみ増殖していたり、また菌数が多い場合は、異常である可能性があります。また、粘稠性が高い場合には、細菌や真菌、トリコモナスの寄生、でんぷんの糊状化、などが考えられます。こういったものが嗉嚢で増加することによって嗉嚢内の食物が流れない「嗉嚢停滞」「嗉嚢炎」が発生します。

 嗉嚢炎や消化器疾患は高でんぷん質のパンなどの過食で引きをおこされます。おすすめのおやつは、青菜などです。これを頻繁にあげると良いでしょう。


症例1:嗉嚢炎


メガバクテリア.jpg セキセイインコが最近痩せてきて元気がないということで来院されました。
 嗉嚢検査を行うと、メガバクテリアが確認できました。左の画像にある細長いものはメガバクテリアです。10年ほど前は治療法がわかりませんでしたが、カビであることが判明したため抗真菌剤で治療が可能になりました。メガバクテリアによって引き起こされる症状は激しい嘔吐です。嘔吐物でインコの頭や顔がカピカピになります。また、やたらと食べるが体重が激減する“Gooing Light”という症状が見られます。胃の中にびっしりとカビが生えてしまうこともあり、重症例では敗血症を呈し死亡することもあります。
 本症例では、注射薬の抗真菌剤を投与し治療を行いました。

 もう1つ嗉嚢検査でよく見かけるものに、カンジタ(酵母型のカビ)があります。メガバクテリアほど症状はきつくありませんが、重症化すると命にかかわることがあるため注意が必要です。



症例2:卵詰まり(卵塞症)


 セキセイインコがお腹周りが大きくなり、元気がないということで来院しました。
触診したところ腹腔内に卵を確認し、卵詰まりと診断しました。専門的には卵塞症と言います。
通常卵は排卵されてから24時間以内に産み落とされますが、この時間を経過しても卵を産まない状態が卵詰まりです。
 まずは、全身状態を改善させるため、ICUにて酸素の吸入、皮下補液を行います。そして1時間ほど経過したのち、卵を腹部を圧迫して排卵させます。


卵管肥大症例3:卵管炎・卵管肥大








症例4:副鼻腔炎(洞炎)


洞炎_セキセイインコ.jpg くしゃみ、鼻汁が出るということでセキセイインコが来院しました。鳥の副鼻腔は目の周りから下嘴までつながる大変複雑迷路になっていることと、鳥類は化膿すると膿が固まりになる性質の為、副鼻腔炎は治りずらい傾向があります。当院では漢方薬を主に処方しています。