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皮膚病

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 犬の皮膚炎や外耳炎で来院された場合、どのように診断・治療していくかご説明いたします。
 まず、皮膚に直接的に作用して炎症やかゆみを引き起こしている感染症がないか精査します。感染症の原因微生物は、大別して細菌・カビ・外部寄生虫の3種類があります。

◆細菌:スタフィロコッカス属
◆カビ:糸状菌(3種)、マラセチア(酵母)、カンジタ
◆外部寄生虫:ノミ、ダニ、ニキビダニ(アカラス)、疥癬


診断の流れ


 まず、ノミやダニがいないか最初にチェックします。ノミがいた場合、9割はノミアレルギーによる細菌性皮膚炎です。次に丘疹、湿疹、かさぶた、膿疱、水疱、ふけ、赤斑などができていないか観察し、症状にあわせて疑われる疾病を考えていきます。ゴワゴワした厚いかさぶたやふけが多い場合は疥癬やニキビダニなどを疑い検査します。かゆみが強く、湿疹・膿疱・かさぶた・ふけなどは細菌感染に特徴的な症状です。これら病原微生物を確実に診断し、それぞれ適合した薬で第一回目の治療を実施します。

 検査で感染症が否定さてたり、感染症をの治療で治らなかった場合、または治っても再発を繰り返す場合は、何らかの原因で皮膚のバリア機構が壊れていることが考えられます。私たち人間や動物の皮膚には、スタフィロコッカス(細菌)やマラセチア(カビ)などの病原微生物も常に存在しており、通常は皮膚の免疫で増殖しないように制御されています。皮膚バリアが機能せず治りづらい場合には、患者が下記の様な要因をもっていると考えられます。

◆ホルモン異常
 甲状腺機能低下症、副腎皮質亢進症、皮膚病X、etc
◆アレルギー
 皮膚アレルギー(アトピー)、食物アレルギー、etc
◆その他
 先天的要因、精神的要因、自己免疫疾患、食物不耐性、栄養性、肝疾患、etc

 発毛周期に異常があり左右対称の脱毛がある場合は、ホルモンの異常が疑われますので、さらに詳しい検査が必要になります。また、大型の膿疱・色素脱や結節がある場合は、自己免疫疾患やリンパ腫が疑われるので皮膚生検で確認します。近年、CD4/CCR4検査が実用化され、アレルギーの有無を調べることも可能になりました。詳しくはアレルギーの診断
をご覧ください。


症例1:スタフィロコッカスによる犬の皮膚炎


 強い痒み、丘疹、かさぶた、ふけが出るということで来院されました。皮膚検査したところ、角質の中や周辺に紫色の小さな点々(左画像赤矢印)が多数見られ、この犬は細菌感染により皮膚病になっていることがわかりました。スタフィロコッカス属の細菌には耐性が起きずらいと考えられており、14日間ほどの抗生剤投与で完治または症状が良くなります。




症例2:アカラスによる犬の皮膚炎


アカラス.jpg 強い痒みがあり、常にかゆい部分を舐めているということで来院されました。皮膚検査を行った結果、アカラス(イヌニキビダニ)が認められました。 
 アカラスの駆除は外用薬を用いて行います。
画像:アカラス(イヌニキビダニ)









症例3:マラセチアによる外耳炎


マラセチア.JPG 耳から発酵臭がするということで来院されました。皮膚検査を行った結果、マラセチアが検出されました。
 マラセチアは、カビの一種で酵母の仲間です。