本日 134 人 - 昨日 155 人 - 累計 528511 人

パピークラス

  1. HOME >
  2. パピークラス
 パピークラス.JPGパピークラスとは、一歳未満の子犬を対象に、月々当院でドッグトレーナーさんをお招きして開催しているクラスです。
 子犬は社会化期(生後3~12週:下表参照)に、いろいろな環境や他の犬と遊ぶ必要があります。
犬のしつけにおいて、「いい子にしつけること」と「芸を教えること」は同時に進めていきますが、基になる考え方が違います。
 まず「いい子にしつける」とは、簡単に言えば情操教育のことです。人間でも、頭の良い人は悪いことしないなんてことはありませんよね。犬でも同様に、問題行動をしたり情緒不安定にならないようにするために、「社会化」ができる環境を用意してあげる必要があります。子犬は感覚器の働きが不完全な状態で生まれてきます。移行期から社会化期の前半(下表参照)では、母犬や兄弟犬との生活の中で、愛されることや噛んだら痛いことなど、さまざまなことを実体験として身につけていきます。このような情緒は、人間が教育することはできないため、生後50日まで母犬や兄弟犬と離してはいけません。



 社会化期中盤(生後50日:下表参照)、ちょうど第一回目の混合ワクチンが済んだ頃くらいから、外界に向けての好奇心が旺盛になります。新しい環境にチャレンジしていく適期ですが、怖がらせないように少しずつ慣らしていく必要があります。抱っこをして外の景色をみせ、大丈夫そうならお散歩デビューしましょう。ただ、まだ子犬は十分な免疫を持っていないので伝染病に注意しなくてはなりません。2回目のワクチンが済むまでは、他の犬の排泄物に近づけず、きれいなところを歩かせたり、混合ワクチンを接種していて確実に健康なワンちゃんに遊んでもらいましょう。
 社会化期~若年期前半(下表参照)は、犬として犬社会に順応するための大切なルール(犬語)を学ぶ期間です。また、人を含むいろいろな動物との付き合い方を学習します。伝染病が怖いからと言って、部屋の中ばかりで生活すると、犬と遊べなくなったり、他人に触らせなかったり、突然噛む犬になってしまいます。トイレのしつけも始めるころですが、失敗したからといって叱ってはいけません。トイレのしつけについては、しつけに関するFAQでご説明いたしますが、この社会化期のしつけのコツは、人間の方で犬を叱らないで済むように工夫し、私たちの生活に犬が合わせてくれるように導いてあげることです。また、「芸を教えること」も始める時期になっているのですが、その前に「ハンドリング」を教えます。「ハンドリング」は、飼い主が犬の体をなでて、ご褒美をあげるという作業をひたすら繰り返し、時間をかけて犬の嫌がる足先や口の中まで、だんだん触らせるようにするしつけです。この「ハンドリング」によって、はじめて、飼い主の「よ~し」という言葉や愛撫が、犬に褒め言葉やご褒美として認識され、また、飼い主との信頼関係が構築できます。一般に情緒不安定にしないためには、褒めるの6割、叱るの1割と言われています。その後の学習をスムーズにするため、たくさん褒めてあげてください。「ハンドリング」は、犬が特に芸をしなくても褒めてあげられますし、成犬でも効果があります。
新生子期生後2週齢程度まで
移行期生後2~3週齢程度
社会化期生後3~12週齢程度
若年期生後12週齢程度~性成熟
成熟期8か月齢~1歳以下


訓練士の.JPG 水族館のイルカショーでは、飼育員の号令にしたがってイルカが規則正しくジャンプをして私たちを楽しませてくれます。どうすれば、あんなにイルカが言うことを聞くのでしょう?水中で早く泳げるイルカに、打ったり蹴ったりなどの罰を与えることは不可能です。そのため、イルカたちは、すべて褒めてしつけをしています。しかし、ジャンプの直後にご褒美の魚をあげるのは難しいので、ホイッスル(笛)を使います。前項で犬のハンドリングについて説明しましたが、まったく同じ要領でホイッスルを教えていきます。イルカが特に芸をしていなくても、ホイッスルを鳴らしたら魚をあげ、ひたすらこの作業を繰り返していきます。そうすると、イルカはホイッスルが鳴るといいことがあることを学習し、どうすればホイッスルが沢山鳴るか考え始めます。そうしたら、飼育員は少しハードルをあげ、なにか目的の行動に近い動作をしたときにホイッスルを鳴らすようにします。たとえばジャンプさせることが目的なら、イルカが水面から背びれを出した時にホイッスルを鳴らします。すると、イルカは水面から背びれを出すような泳ぎ方を頻繁にするようになります。また、生き物には必ず行動にむらが出てくるので、たまには勢いあまってジャンプしてしまうことになるでしょう。そうしたら、さらに飼育員はハードルをあげ、より高く美しくジャンプしたときだけにホイッスルを鳴らすようにします。このようにして、少しずつ目的とする行動に近づけて学習させていきます。
 イルカにとってのホイッスル、犬にとってのハンドリング(なぜてあげること)、人間にとってのお金など、目的の行動(労働)の後にもらえるものは代替えのご褒美です。人間も大金がもらえるとなるとモチベーションがあがりますよね。そして訓練が進んでいくと、人間が食べ物よりお金をもらうことを欲するような(イルカが餌の魚よりホイッスルの音を欲しがる)心理的高揚がでてきて、目的の行動(ジャンプ)のあとに、必ずしも毎回ご褒美(餌の魚)を与えなくても、ホイッスルで十分意欲を保持できるようになります。もちろん、通貨に信用が必須なように、代替えのご褒美だけ与えられて餌を1つももらえないと、信用がなくなり欲しくなくなってしまうので、ある程度加減して、ご褒美(餌)を与える必要があります。これから、犬にしつけを始める方は、犬がとてもほしがるご褒美(餌、チーズ、おやつ、人形、おもちゃetc)を用意し、まずはハンドリングなどで代替えのご褒美(なでる、「よ~し」と褒める、笛、クリッカーなど)を教えながら、信頼関係を築きましょう。

ご興味のある方はパピークラス開催予定日をご覧ください。