犬の病気予防
狂犬病予防
狂犬病は全ての哺乳類に感染し、世界中で年間5万人以上が亡くなっている怖い病気です。狂犬病予防は犬だけを守るものではなく、本来は人を守るワクチンなのです。予防は飼い主様の義務です。日本では1956年以降発生は見られませんが、現在、公園などで出会ったワンちゃんと気軽にふれあえるのは、先人たちが犬の予防をちゃんとしてくれたおかげです。世界中でも狂犬病のない国と地域はごく限られています。この安全な社会を次の世代にも確実に引き継がなけれなりません。
混合ワクチン
犬には死亡率の高いジステンパーやパルボウイルス感染症など怖い伝染病があります。感染した時には亡くなるか、1週間以上の入院で高額な治療費がかかります。車の任意保険と一緒で必要なワクチンです。仔犬の場合は母親譲りの免疫が残っているので、生後2か月未満での接種はあまり有効でなく、発育ステージにより接種回数が変わってきます。通常は、生後2か月目と生後3カ月目に接種するプログラムが一般的です。成犬の場合は1年に1回の接種が必要です。
当院では6種混合と11種混合ワクチンをおすすめしており、飼育環境やライフスタイルにより、どちらかを選んでいただいています。
フィラリア症予防予防
犬フィラリアは、蚊に刺されることで感染する伝染病です。蚊により、犬の皮下に潜入したフィラリア幼虫は、約6ヶ月かかり成虫になって心臓に寄生します。フィラリア成虫の大きさは30cmぐらいあり、心臓の機能を邪魔したりアレルギー性肺炎を起こしたりします。
症状が進むと心臓が耐え切れなくなり、腹水貯留、肺水腫、全身の浮腫、肝硬変が生じます。急性の循環障害(ベナケバ症候群)では血液が溶血して尿が赤褐色~醤油色になり、この場合は死亡する可能性が高いです。一夏予防を忘れると30%ぐらい感染するリスクがあります。フィラリアは、毎月1回(5月~12月)の飲み薬、または毎年1回の注射で予防できます。
ノミ・ダニの予防
ノミやダニは犬から吸血してかゆいだけではなく、ノミアレルギー性皮膚炎、瓜実条虫(サナダムシ)、犬バベシア症などの病気を引き起こすことがあります。写真の犬バベシア症に感染したワンちゃんは合併症もあり亡くなっています。お散歩でちょっとした草むらや畦道に入ると、犬にノミダニが付いてきてしみます。4から11月は、虫の活動期なので特に注意しましょう。ノミダニの予防は、フロントラインなどのスポット剤(毎月1回)や5カ月有効なボルホカラー(首輪)などがあります。市販のものは薬剤形状が似ていますが、ダニにはほとんど効かず、ノミの予防もちゃんとできないことがありますので、ご注意ください。
お口の中の健康管理
関東の動物で実施された犬の歯科健診によると、健診を受診した犬のうち約7割に歯垢の沈着や歯石が認められたそうです(2009年アニコムパフェ株式会社調べ)。
歯垢は、食物が歯に蓄積しそこに細菌が増殖した状態のものです。歯垢をそのまま放置すると石灰沈着し、歯石となります。歯石は、歯肉に炎症を生じさせ、歯肉炎となり、炎症の進行とともに、歯肉や歯を支えている組織が破壊され、痛みを感じるようになります。ひどい場合には、歯が抜け落ちることもあります。こういった症状がある場合全身麻酔による手術を行うこともあります。さらに、歯周病はお口の中のトラブルのみではなく、心臓や肝臓、腎臓のような重要な臓器へ障害を与えることもあります。
そのため、当院へパピーを連れてご来院されたオーナー様へ歯磨きを習慣けるようおすすめしています。
また、お口が臭うというお悩みを抱えるオーナー様も多くいらっしゃいますが、この場合も歯磨きやサプリメント等を用いて治療を行っています。